FXStreet - スイス国立銀行(SNB)は、このところスイスフラン高に�快感を示している。12月3日にECBが刺激策を発表した後、スイスフランが上昇した際、売り介入を実施し、通貨安を望むスタンスをあからさまにした。ただ、こうした人為的な手段で通貨安を達成するには、さらなる金利引き下げが必要である。

マイナス金利や為替介入の意向は、スイスフランへの圧力を緩和するために必要であるとSNBは述べている。必要な状況ではいつでも為替市場に積極的に関わり、その影響力を示すはずである。

12月10日の政策会合では、緩和的金融政策の維持が決定された。3ヵ月Liborの目標レンジは、–1.25% ~ –0.25%に据え置かれ、SNBへの預託金利も–0.75%に維持された。

ユーロ圏の情勢緊迫を念頭に置いた経済の舵取りが必要

スイスはユーロ加盟国に囲まれているため、SNBがECB政策を密接に追跡するのは無理からぬことだ。過去には、政策の舵取りをするうえで、ECBからヒントを得たこともある。したがって、ECBが予想より小規模の刺激策を発表し、市場を失望させた際、SNBも政策をシフトさせないとの見方が大勢であり、実際にそうなった。このシナリオは、当面変わらないものと予想される。

INGのアナリストはごく短期的に、ECBがさらなる利下げを敢行した場合、スイスフラン – ユーロの金利差に圧力がかかると的確な予想を立てている。これはスイスフラン高をまねく要因となる。また、ユーロ圏経済が混乱した場合、ユーロが急落し、スイスフランをはじめとする安全通貨への需要が高まる結果となるだろう。そうなればSNBは金利を引き下げ、通貨防衛に動かざるを得なくなる。

ECBのドラギ総裁は、12月10日の会合後の記者会見で、インフレ目標に近づくため、緩和ツールの利用を強化すると市場に明言した。ECBは、ユーロ圏内の物価安定のため、一段の緩和をすることができるし、その用意があると述べている。つまり、ユーロ圏金利への低下圧力は、今後も長引くことになる。したがって、SNBが金利正常化に着手するのは、早くとも2017年になるだろう。

インフレ率が1%を突破するのは、2018年以降

スイスはほかの主要諸国同様、低インフレに悩まされている。インフレ率は、ユーロに対する上限を解除して以来、おおむね低下基調にある。SVME PMIは49.7(前回50.7)と収縮を示しており、小売売上高は前年比で-0.8% と振るわず、インフレ率は-1.4%とマイナス圏にある。

SNBのインフレ見通しは、為替安が功を奏し、短期的に改善している。2016年のインフレ率予想は、- 0.5%への小幅の上昇と従来の見方が維持されている。一方で2017のインフレ見通しは、0.4%から0.3%へ若干下方修正された。インフレ率が1.0%を突破するのは、2018年中盤と予想されている。

GDP成長率は世界経済の見通し改善に合わせ、徐々に上昇

今月発表された第3四半期GDPデータは、横ばいを示し、0.2%の市場予想を下回った。SNBは、2015年の実質成長率は1%を切ると試算している。成長率は2016年に1.5%へ上昇すると見込まれている。世界経済の安定により国内の財・サービスに対する需要増大、さらに内需の回復が期待できる。SNBは、住宅ローンと不動産市場の状況を定期的に監視すると共に、景気連動性を抑制するような資本的制約に対する調整の必要性を随時見直すとしている。

** FXStreet Newsroom, FXStreet **